右肩の痛みと慢性的なお腹の不調…30代男性の隠れた原因は小学生時代の盲腸手術!?

初めに


こんにちは!船橋市西船橋にある整体院ゆいまーるです。

「肩が上がらない」「動かすとズキッと痛む」「いつもお腹の調子が悪い…」

もしあなたがそんな悩みを抱えているなら、今回の記事はきっとお役に立てるはずです。一見関係なさそうに見える「肩の痛み」と「お腹の不調」が、実は深いつながりを持っていることがあるのです。

2024年11月2日、当院に30代男性のIさんがご来店されました。Iさんは、3日前に当院をご利用くださった奥様からのご紹介でいらっしゃいました。奥様、ありがとうございます!

今回は、Iさんの長年の肩の痛みとお腹の不調が、どのようにして改善へと向かったのかを詳しくご紹介します。


「何もしなくても痛い」右肩の痛み…Iさんの訴え


今回の記事のタイトルには「過敏性腸症候群と痛み」と書きましたが、Iさんが当院にご相談くださった主な理由は、まさに「右肩の痛み」でした。いわゆる「四十肩」や「五十肩」(肩関節周囲炎)のような症状です。

Iさんの痛みが始まったのは半年前のこと。デスクワーク中に突然右肩に痛みが走り始め、「少し寝れば治るかな」と思っていたそうです。しかし、全く治る気配はなく、むしろ悪化の一途を辿り、**2〜3ヶ月間は「何もしなくてもずっと右肩が痛い」**という状態が続いたとのこと。

そこから4〜6ヶ月経つと、常に感じる痛みはなくなったものの、今度は右肩自体が上がりにくくなってしまったそうです。たまに遠くの物や高いところにある物を取ろうとすると、ズキッと痛みが走るとのことでした。

過去の病歴と現在の状態

これまでのIさんの既往歴(過去の病気や怪我)を詳しくお伺いすると、様々な経験をされていました。

  • 小学生の頃: 盲腸(虫垂炎)の手術
  • 高校生の頃: 野球中にボールが鼻に当たり、鼻骨の軽度骨折
  • その他: 腰椎分離症、ヘルニア、両足のシンスプリント

また、大きな怪我とまではいかないものの、普段からお腹が弱く、胃腸炎にもなりやすいとのことでした。

現在の生活習慣についても伺いました。

  • 運動: 現在はしていない
  • ストレス: 5段階中「2」と比較的弱いと感じている
  • 平均睡眠時間: 7時間
  • 起床時の体温: 35度とかなり低い
  • お腹の調子: 便秘と下痢を繰り返す
  • その他: たまに両足の膝から下がしびれて歩きにくくなることがある

これらの情報から、Iさんの体の状態を詳しく把握し、どこに根本原因があるのかを探っていきました。


問診のポイントと検査:隠れた原因「癒着」の推測


Iさんの状態を整理すると、以下の点が重要だと考えられました。

  • 主な悩み: 右肩の痛み(五十肩のような症状)、現在は動きにくさと急な動きでの痛み。
  • 発症時期: 半年ほど前。きっかけは特になし。
  • 年齢・職業: 30代男性、デスクワーク。
  • 既往歴: 小学生時代の盲腸(虫垂炎)手術、腰椎分離症、ヘルニア、シンスプリントなど。
  • 慢性的な不調: 胃腸炎になりやすい、便秘と下痢を繰り返す、低体温、足のしびれ。

今回のポイントは、Iさんが小学生の頃に受けた盲腸(虫垂炎)の手術だと推測しました。

Iさんとお話ししていると、小学生の頃の盲腸の手術をしてから、疲れやすくなったり、胃腸炎になりやすくなったりと、様々な不調が出やすくなったとご本人が実感されていました。そのため、元々お腹が弱い体質ではあるものの、さらに盲腸の手術によって、傷跡が周りの組織と「癒着(ゆちゃく)」してしまったせいで、体全体の機能が落ちているのではないかと考えられました。

体の組織が癒着すると、癒着した部分に他の組織が引っ張られたり、その部位の柔軟性が失われたりします。

Iさんの悩みである右肩の痛み(肩関節周囲炎)は、現在の医学では明確な原因は不明とされています。しかし、肩関節周囲炎で当院にご来店される方のお話を伺うと、過去に大きな病気や手術の経験があったり、かなり強いストレスを受けていたりする方が多く見られます。

Iさんのケースの推測まとめ

Iさんの場合は、過去の盲腸手術によってお腹に癒着ができ、そこから体全体のパフォーマンスが低下し、過敏性腸症候群や胃腸炎、シンスプリント、ヘルニア、分離症といった症状が出やすくなってしまっていた。そして今回は、様々な要因が重なった結果、右肩に負担がかかり、肩関節周囲炎になってしまったのではないか、と推測しました。

そこで、以下の検査を行うことにしました。

  • 背骨(脊柱)の柔軟性検査: 背中全体の硬さの確認
  • 骨盤の歪み検査
  • 右肩の可動域と痛みの確認
  • お腹の圧痛と硬さの検査

検査編:明らかになった体の状態


上記の検査を実際に行っていきました。結果は以下の通りです。

1.背骨(脊柱)

  • 右の胸椎1〜3番(T1-3)が硬い
  • 右の腰椎4番〜仙骨1番(L4-S1)が硬い
  • 両側の胸椎12番(T12)周辺が硬い

2.骨盤

  • 右の仙腸関節(骨盤の関節)の動きが悪い

3.右肩の可動域と痛み

Nさんの右肩は、明らかに動きが悪いことが分かりました。

動き正常な可動域Iさんの右肩
腕を前に上げる(屈曲)180度110度
腕を後ろに引く(伸展)50度10度
腕を横に上げる(外転)180度120度

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さらに、肩を上げようとすると痛みが出て、つらそうでした。

4.お腹の検査

  • 全体的に触られると嫌な感じがするのと、押した時に痛み(圧痛)がある
  • 特に右の股関節付近のお腹に強い圧痛、硬さ、そして嫌な感じがある

この結果から、特にお腹全体の張り感や、右股関節付近の圧痛があるということは、やはり盲腸(虫垂)があった部分(お腹の右下、小腸と大腸の切り替え部分)に何か癒着がありそうだと強く推測できました。

これらの検査結果を踏まえ、どのような施術を行うべきかを検討していきました。


施術の選択:癒着を剥がし、根本から改善


今回のIさんの主な症状は、肩関節周囲炎、いわゆる四十肩・五十肩です。この肩関節周囲炎は、初期の強い痛みと炎症、そしてその後の可動域制限が特徴とされています。

現在、Iさんは強い痛みは落ち着いているものの、動作時の痛みと可動域制限があります。これは、肩関節周囲の組織に強い炎症が起き、関節自体が癒着している可能性が高いと考えられます。この癒着は、時間をかけて丁寧に取り除いていく必要があります。鍼や手技で癒着を剥がす施術を行います。

次に、検査で動きが悪かった右の仙腸関節の動きを調整する施術も行います。

そして、今回の根本原因と推測される、盲腸の手術後の「ファシア(筋膜などの結合組織)」へのアプローチを行い、癒着を剥がす施術を行います。これは「ゴリゴリ」するような施術ではなく、優しい圧を内臓に加えていく方法です。

では、実際の施術の様子をご紹介します。


施術開始!そして驚きの変化


まず最初に行った施術は、体の土台である骨盤周り、特に右の仙腸関節の調整です。バキバキしない方法で、約3分ほどかけて丁寧に行いました。

次に、今回の鍵となる手術跡の癒着を剥がすため、ファシアへの施術を行います。これは少し特殊な手技で、患部へとゆっくりと優しい圧を加えながら進めます。時間にして15分程度です。

これでどうなったかというと、先ほどまで少し触るだけでもかなり痛かったお腹の圧痛が和らぎ、お腹全体の緊張感が10から6くらいまで軽減されました。この時点で、問診と検査を合わせて約40分が経過しました。

最後に、主な症状である右肩の施術です。腕を上げた時に痛みや詰まり感を感じる肩の前面と脇腹の筋肉へ、鍼を15本ほど刺鍼し、さらに手で10分ほどかけて丁寧にほぐしていきました。正直、この部分は少し痛みを感じる施術ですが、Iさんの改善のためには必要なアプローチです。

これで約50分ほどの施術が終了です。では、気になる施術後の結果はどうだったでしょうか。

動き施術前施術後
腕を前に上げる(屈曲)110度120度
腕を後ろに引く(伸展)10度20度
腕を横に上げる(外転)120度110度(変化なし)

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角度の変化に加え、腕を上げた際の痛みは明らかに無くなりました。

Iさんへの説明として、「肩は強い炎症によって組織が癒着しているので、今後も積極的に癒着を剥がしていく施術と、ご自身でもどんどん動かしていくことが必要です。そのため、改善にはある程度の回数がかかります」とお伝えしました。そして、「最終的な原因は小学生の頃の手術後の癒着だと考えられるので、お腹への施術も同時並行で進めていく方が、根本的な改善につながります」と説明しました。

Iさんも「そうですよね、頑張ります!」と、次回の予約を取り、お帰りになられました。


今回のまとめ:肩の痛みと内臓の深い関係


今回の記事では、過敏性腸症候群と肩関節周囲炎でお悩みの30代男性、デスクワークのIさんの症例をご紹介しました。

結論として、Iさんの肩関節周囲炎の根本原因は、小学生の頃の盲腸手術後に盲腸付近に癒着が生まれ、それが内臓全体へ過緊張を引き起こし、最終的に右肩に負担が集中して痛みを発したのではないかと推測し、施術を行いました。

その結果、右肩の関節の可動域はまだ改善の余地があるものの、腕を上げた際の痛みは取り除くことができました。

Iさんのような肩関節周囲炎は、強い炎症と強い癒着が原因で可動域制限が出るため、改善には時間と回数がかかります。一般的に、肩関節周囲炎は治るまでに1年ほどかかると言われており、人によっては一生治らないケースもあります。しかし、一つ一つの原因を解決していくことで、1年かかるところが10ヶ月、9ヶ月になったり、諦めていた肩が治ってきたりすることも十分に可能です。

今回、Iさん、あるいは同じように肩の痛みや肩関節周囲炎、四十肩、五十肩でお悩みの方がいらっしゃれば、今回の記事が参考になれば幸いです。


後日談:生活環境による影響と体の変化


初回の来店から1週間後、Iさんが再びご来店されました。

この1週間の様子を伺うと、Nさんは「1日10時間運転する日があったり、仕事で座りっぱなしだったので、肩の可動域と痛みは戻っちゃいました…」と正直に話してくださいました。やはり、日常生活での負担が大きいと、施術効果を維持するのは難しい側面もあります。

しかし、同時に嬉しい報告もいただきました。「施術した次の日は肩の痛みがなかったのと、お腹が軽い筋肉痛っぽくなって、その後、便がめちゃくちゃ出たんです!この1週間、下痢も腹痛もありませんでした」とのこと。

生活環境によって肩の症状は一時的に戻ってしまったものの、体には明らかな良い変化があったことを実感できたようです。

今回のようなケースでは、焦らず、少しずつ体質改善を進めていくことが大切です。諦めずに、一緒に根本改善を目指していきましょう。