【整体施術事例】左手の痺れでお悩みの40代男性Tさん(デスクワーク・市川市中山在住)
はじめに
2024年6月17日、市川市中山在住の40代男性Tさんが「左手の痺れ」を主訴に当整体院へ来店されました。Tさんは普段、在宅中心のデスクワークをされており、パソコン作業が多い環境です。以前は腰痛を主訴に近隣の整骨院に2年間通院していましたが、マッサージや電気療法、骨盤矯正などの施術では症状の改善が実感できず、逆に左手の痺れが出現したことで治療先の変更を検討されました。
インターネットで信頼できそうな整体院を探す中で当院のホームページに辿り着き、ご来院に至りました。
本記事では、
- 左手の痺れとTさんの問診内容
- 身体の検査詳細と結果
- 痺れのメカニズムと考察
- 今回の施術方針
- 実際の施術内容と経過
- まとめ
の順に、症例を通じて解説します。
左手の痺れとTさんの問診内容
まず問診にてTさんの状態を詳しく伺いました。
- 年齢・性別:40代男性
- 職業:主にパソコンを使うデスクワーク(在宅が多い)
- 主訴:左手の痺れ(特に人差し指のピリピリ感、感覚の鈍さ)
- 痛みの有無:痛みはないが常に痺れ感がある
- 症状が悪化する状況:電車の吊革を持つ時や長時間の作業時に痺れが強くなる
- 他の症状:肩こり、腰痛、太もも裏の張り、不眠症状もあり
- 生活習慣・既往歴:
- 過去に空手経験あり、現在は運動習慣なし
- 喫煙・飲酒はなし
- ストレス過多(考え事が多い)
- 冷え性なし
- 時々軟便気味
- アレルギーなし
こうした背景から、長時間のデスクワークによる姿勢不良と筋肉の緊張が主な原因の一つと考えられました。
身体の検査詳細
当院では痺れの原因を大きく「血流障害」と「神経障害」の2つに分類しています。それぞれの原因を的確に見極めるため、以下の整形外科的検査を実施しました。
- ジャクソンテスト(頸椎の神経圧迫チェック)
- スパーリングテスト(頸椎神経の圧迫確認)
- ライトテスト(腕を挙げて脈拍と痺れを確認、血流評価)
- ルーステスト(腕の挙上で血流と感覚を検査)
- モーレーテスト(斜角筋の神経圧迫検査)
- ファレンテスト(手首屈曲で正中神経圧迫の確認)
検査結果
- ジャクソンテスト・スパーリングテスト:陰性(頸椎神経圧迫なし)
- ライトテスト・ルーステスト:陽性(血流障害の疑い)
- モーレーテスト:陽性(斜角筋による神経圧迫の疑い)
- ファレンテスト:陰性(正中神経障害なし)
これらから、
- 頸椎での神経圧迫は考えにくい
- 腋窩動脈や鎖骨下動脈の血流障害が起きている可能性
- 斜角筋による腕神経叢の神経圧迫も示唆される
と診断しました。
左手の痺れのメカニズムについて
痺れとは
痺れは感覚障害の一つで、神経や血管の異常が原因で起こります。大きく分けて、
- 血流性痺れ:血管が圧迫され、酸素や栄養が不足し神経や組織に障害が出る
- 神経性痺れ:神経自体が圧迫や炎症などにより機能障害を起こす
この2つのパターンがあります。
血流障害による痺れ
血流が悪くなると、酸素欠乏や栄養不足により神経が正常に働けなくなり、ピリピリやジンジンとした痺れ感が現れます。例えば、脇の下の大きな動脈(腋窩動脈)が圧迫されると、その先の腕や手に血流障害が起きやすくなります。
神経障害による痺れ
腕神経叢などの神経が筋肉や骨などにより圧迫されたり牽引されることで、その神経が支配する部位に痺れが生じます。
本症例の考察
Tさんの症状は、主に「胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome)」の可能性が高いです。
胸郭出口症候群とは、鎖骨と肋骨の間、または斜角筋間の狭いスペースで神経や血管が圧迫されて生じる症状群を指します。デスクワークや猫背姿勢で胸筋や首肩周りの筋肉が緊張し、血管や神経が圧迫されやすくなるため、特に現代人に多い疾患です。
施術の方針
問診・検査から分かったポイント
- 40代男性デスクワーク
- 左手人差し指の痺れ(ピリピリ、感覚鈍麻)
- 症状は作業中や吊革保持時に悪化
- 肩こり・腰痛・太もも裏の張り感・不眠を伴う
- ストレス過多、運動不足、軟便傾向もあり
検査結果のまとめ
- 血流障害を示すライト・ルーステスト陽性(鎖骨下動脈・腋窩動脈付近の圧迫)
- 斜角筋による神経障害疑い(モーレーテスト陽性)
- 頸椎神経障害は否定的(ジャクソン・スパーリング陰性)
施術方針
- 胸筋群(大胸筋・小胸筋)や三角筋などの過緊張を緩和する鍼灸施術
- 鎖骨下筋、前鋸筋など胸郭出口周囲筋群の手技療法(筋膜リリース・ストレッチ)
- 猫背・肩の内巻き姿勢の矯正
- 自律神経調整(不眠改善を含む)
筋肉の過緊張を緩めることで、血管・神経の圧迫を軽減し、痺れを改善させるのが目的です。
施術の詳細と経過
鍼灸施術
- 使用鍼:細径のネオ0番鍼
- 刺鍼部位:左胸筋、三角筋周辺
- 刺入時間:約5分
- 目的:筋緊張の緩和・血流改善
施術直後に再度ライトテスト、ルーステスト、モーレーテストを行ったところ、全て陰性に変化。Tさんも痺れの軽減を実感されました。
手技療法
- 鎖骨下筋、前鋸筋の筋膜リリース、マッサージ
- 時間:約20分
- 効果:肩こり軽減、腰痛も緩和傾向
施術計45分終了時には、痺れはほぼ消失。Tさんも「最初に比べてかなり楽」とご感想を頂きました。
施術後の指導
- 胸筋・腰痛に効くセルフストレッチの指導
- 姿勢改善のアドバイス
- 次回予約の調整
まとめ
本症例では、40代男性Tさんの左手痺れの原因は「胸郭出口症候群」と診断しました。デスクワークによる長時間の前傾姿勢と肩の内巻き姿勢が、胸筋群の過緊張を招き、鎖骨下動脈や腕神経叢の圧迫を引き起こしていました。
鍼灸施術と筋膜リリースにより筋緊張が緩和されることで血流と神経圧迫が軽減し、症状が大きく改善しました。
胸郭出口症候群はデスクワーク、事務職、パソコン作業を多く行う方に増加傾向の疾患です。同じような症状でお困りの方はぜひ当整体院へご相談ください。